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「かえる」の多彩な使い分け:「返る」「帰る」「還る」の意味の違い

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物や人がもといた場所や状態に戻ることを、「かえる」と言います。

この言葉には、「返る」「帰る」「還る」という三つの漢字が使われます。

興味深いことに、これらの言葉は元々「孵る」という単語に由来しており、「卵からひなや子が生まれる」や「孵化する」といった意味があります。

さらに、「反る」という漢字も「かえる」と読むことがありますが、「そる」と読むこともあります。ただし、日常的な使用ではあまり見かけません。

「返る」「帰る」「還る」は同じ「かえる」という読みを持ちながら、使われる場面や意味合いに大きな違いがあります。

それぞれの違いについて見てみましょう。

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一般的な選択:「原点に帰る」「初心に返る」

一般的な選択:「原点に帰る」「初心に返る」

「原点にかえる」「初心にかえる」という表現は、どのように漢字で書くのが一般的なのでしょうか。

それを調査した結果が下記のとおりです。

実は「原点に帰る」「初心に返る」という表記を選ぶ人が多かったのです。

  • 原点に帰る/初心に返る 4割超
  • 原点に返る/初心に帰る 2割少々
  • 原点に返る/初心に返る 約2割
  • 原点に帰る/初心に帰る 1割強

しかし文字情報メディアの表記ルールとしては「原点に返る」「初心に帰る」を使っていて、多数の人が使う表記とは逆の組み合わせでした。

「原点」には「帰る」を、「初心」には「返る」を使う傾向がそれぞれ約6割となり、メディアの表記ルールよりも少し優勢な選択が見られました。

「返る」と「帰る」の使い分け:物には「返る」、人には「帰る」が通常

「返る」と「帰る」の使い分け:物には「返る」、人には「帰る」が通常

「返る」と「帰る」は、それぞれ物と人の戻りを表す場合に使い分けられます。

具体的には、「返る」は「落とし物が元の場所に戻る(返却)」や「借金を返す(返済)」など、物が元の場所へ戻る状況を指します。

一方で、「帰る」は「祖国へ戻る(帰国)」や「故郷へ戻る(帰省)」のように、人が以前いた場所へ戻る場合に使われます。

ただし、この使い分けには例外もあります。

帰ると返るの使い方の例外

たとえば、「船が母港に戻る」という場合は「帰る」を用い、一方で「借りた船を返す」には「返る」が適しています。

前者は船が基地に戻ることを指し、後者は船の返却を意味します。

また、「正気に戻る」「返る」を使います。

「領土」のような言葉にも、「領土を戻す(返還)」「領土が戻る(帰還)」の使い分けが一般的です。

このように、「返る」と「帰る」は必ずしも物か人かで明確に分けられるわけではなく、場合によっては使い分けが複雑になることがあります。

「帰る」の使用例

「帰る」は、人が自宅、故郷、職場など、以前いた場所へ戻るときに使われます。

例えば、「家へ戻る(帰宅)」「故郷へ戻る(帰郷)」「職場へ戻る(帰社)」などがあります。

帰る

「返る」の意味と使用例

「返る」は、元の状態や場所に戻ることを指します。

これには、「貸した物が戻る」や「落とし物が戻る」といった元の所有者への戻り、または「自分自身に戻る」や「幼少期の心に戻る」といった、変化した状態からの回帰が含まれます。

返却

「手のひらを反す(返す)」「軍配が反る」といった向きや位置の変化を示す場合にも「返る」が用いられます。

「とんぼ返り」も、向きが変わる意味で使われる言葉です。

「返る」と「帰る」の意味の違い

例えば、「生き返る」と「生きて帰る」を比較すると、この二つの言葉の使い分けが重要であることがわかります。

「生き返る」は、死にかけたものが再び生き返ることを意味し、「返る」が適しています。

一方、「生きて帰る」は、例えば戦場から無事に帰ることを指し、人が元の場所へ戻ることを表すために「帰る」が適切です。

このように、使い分けに注意が必要です。

文字情報メディアにおける慣例:「原点に返る」と「初心に帰る」

文字情報メディアにおける慣例:「原点に返る」と「初心に帰る」

文字情報メディア業界では言葉の使い方に独自のルールがあります。

これにより、校閲する人は「原点に返る」と「初心に帰る」といった表現で迷うことはほとんどありません。

読者にとって読みやすくするために、文字情報メディアではこれらの表現を統一しています。

しかし、日常の会話では、これらの表現に大きな意味の違いはなく、どちらの使い方をしても問題はありません。

「還る」の具体的な使用例

「還る」の具体的な使用例

「かえる」という言葉は、「還る」という漢字を使って表すこともあります。

「還る」は、「土に還る」「祖国に還る」「自然に還る」といった特定の文脈でよく使われます。

これは、あるものが多くの過程を経て、その起源の場所へ戻るという概念を示しています。

特に、「生還する」というフレーズは生命に関わる場面で頻繁に用いられます。

谷川健一の書籍「魂の還る処」や、フリーBGM素材の「魂の還る場所」(※クリックで曲が流れます)のように、魂に対して「還る」を使う題名も数々見られます。

「魂が帰る」というより「魂が還る」の方がしっくりきますよね。

ただし、「還る」は常用漢字表に含まれていないため、通常は平仮名で書かれたり、「帰る」という漢字が使われることもあります。

まとめ:迷ったら平仮名が無難

まとめ:迷ったら平仮名が無難

「返る」「帰る」「還る」の使い分けについて、理解が進んだでしょうか。

国語辞典にも「原点に帰って」、「初心に返る」、「原点に還って」といった様々な表現があり、どれが正しいか一概には言えません。

例えば、「初心に返る」と「初心に帰る」、「原点に返る」と「原点に帰る」はどちらも変化した状態から元の状態へ戻ることを意味します。

しかし、元の状態に戻る意味では「原点回帰」という言葉もあり、「帰る」も妥当な使い方と言えます。

ですので、どの表記を使うべきか迷ったら、平仮名で書くのが無難な選択肢です。

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