刺身に付けられる大根の千切り(あしらい)を食べるのは意地汚く行儀が悪いことなのでしょうか?
一般的に、刺身に添えられている大根の千切りを食べるか、残すかについては意見が分かれるところです。
食べるという人は「さっぱりしていて美味しい」という方が多いです。
一方で、「食べたことがない」「水っぽくて好きではない」という人もいます。
また、割烹などの料理店で出される刺身に添えられている大根の千切りは食べるが、スーパーなどで買った刺身に付いて来る大根の千切りは魚の水分や油、時には血が染みていて食べたくないと言う声も聞かれます。
確かに見た目が良くない時も有りますので致し方ないですよね。
自分は個人的に食べる事が好きで、当然のごとく刺身に添えられている大根の千切りや大葉は美味しく頂いています。
この記事では、刺身に添えられている大根の千切りは食べるために添えられているのか?
他の目的で添えられているのか?
また、食べるという行為はお行儀が悪い行為なのか?
について調べましたので解説させて頂きます。
刺身に添えられている大根の千切りの役割
大根の千切りは刺身の付け合わせであり、一般に「あしらい」とも呼ばれます。
あしらいの種類は、見た目や形、添える場所によって「つま」「けん」「薬味」の3つに分類されますが、巷では大根の千切りの事を ”刺身のつま” だと思っている人が多いと思います。
なにを隠そう、自分もそのクチでした。
この記事では、以降「つま」と「けん」をまとめて ”つま” と表しますので、そのつもりでお読みください。
折角ですので、あしらいについて説明しておきます。
あしらいは見た目や形、置く場所によって「つま」「けん」「薬味」の3つに分けられます。
「つま」は、刺身に添える飾り切りをされた野菜や海藻などのことを言います。
「けん」は、栄養のバランスを考えて添えられたり、刺身の口直し用として添えられたりします。
「薬味」は、読んで字のごとくの薬味や、季節感を出す目的で添えられるものとなります。
それぞれ、飾りの意味合いも有りますが、当然食べるという役目も持っています。
ですので、食べたからと言ってお行儀が悪いという事は全くありません。
つま(褄)について
日本料理における「褄(つま)」は元々、端切れやヘリの部分という意味がありますが、使われ方が変わって行ったものと思われます。
切り身の下に敷く大葉などの葉ものを「敷きづま」と呼び、新芽の紫芽しそや赤芽しそは「芽づま」と呼びます。
また、花穂しそなどを刺身に立てかける装飾は「立てづま」と呼びます。
これらの食材としては、青じそ、あさつき、ワカメ、パセリなどが一般的に使われます。
けん(剣)について
「けん」は千切りに切った細く尖った野菜のことを言います。
一般的には、この剣のことを【つま】と呼ぶ人が多いです。
大根の千切りなどを刺身の下に敷くことで皿に高さが出て見た目が豪華になります。
また、大根の爽やかな味が口の中を清涼にし、魚の脂っこさを軽減してくれます。
さらに、大根の香りや食感が刺身の味わいを引き立てます。
刺身は時間が経過すると水分を含みやすく、臭みが発生することもありますが、添えられた大根がその水分を吸収して鮮度を保ちます。
大根にはイソチオシアネートという成分が含まれており、これには殺菌作用があり、刺身の保存性を向上させる効果があります。
また、消化を助ける酵素も含まれており、食後の胃腸への負担を軽減します。
刺身に添えられるけん(剣)としては、大根以外にも人参、きゅうりなども良く使われます。
薬味について
生魚独特のくさみを消す役割や、見た目の彩りを良くする役割を担っています。
わさびやしょうがなど、風味の強い食材が使われます。
食べるべきか?残すべきか?
つまを食べることは行儀が悪いことではありませんし、栄養的にもメリットがあるため、食べれるなら食べた方が良いと思います。
ビタミンやミネラルを摂取する事にもつながります。
とは言え、無理に食べる必要はありません。
つまのその他の役割(効能)
刺身に添えられるつまは、装飾だけでなく保存性を向上させたり消化を助ける実用的な利点があります。
大根、大葉、海藻などの多様な素材が使用され、見た目と味にアクセントを加える目的も有ります。
外食でつまを残しても失礼ではありませんが、食品ロスを避ける事にもなりますし、上で説明した味を楽しむこと(口直しや味を変える事)につながります。
大葉で刺身を包んだり、刺身と大根の千切りを包んだりするのは定番の食べ方でしょう。
小菊の花びらを醤油で味わったり、穂じそと刺身を一緒に食べるなどの方法もありますよ。
残ったつまはどうしたら良い?再利用の方法は?
家庭で余った大根の千切りは、味噌汁の具として再利用するのがおすすめです。
生臭さが気になる場合は、使う前に水で洗うことである程度生臭さを取り去る事が出来るでしょう。
それでも気になるのであれば、味噌汁にネギやみょうが、生姜などの臭い消しとなる薬味野菜を入れると良いですよ。
刺身のつまの成り立ちとその定義
つま(あしらい)が刺し身に添えられ始めたのは江戸時代中期からで、「けん」「つま」「からみ」と分類されるのは上でも軽く説明しました。
おさらいしますと、
「けん」は野菜を細く切って刺し身の後ろに盛るもの。
「つま」は刺し身の横や前に置かれる小さな野菜や海藻、大葉。
「からみ」はワサビやショウガなどの辛味を添えるもの
を指します。
今まで刺身の ”つま” だと思っていた大根の千切りは、「けん」だった訳です。
刺し身のつまの効果、効能とその役割
刺し身のつまに使われる一般的な食材の効果について説明します。
■大根:アリルイソチオシアネートを含むことで知られ、殺菌効果があります。
また、消化を助ける酵素も豊富に含まれています。
■大葉:ペリルアルデヒドを含み、その独特の香りが料理を引き立てます。
抗菌や防腐の効果もあり、切ることで香りが強まります。
■海藻類:食物繊維が豊富で、刺し身に含まれない栄養素を補います。
■ショウガ:ジンゲロールを含み、強力な抗菌効果があり、魚の臭みを抑えることができます。
■ワサビ:アリルイソチオシアネートが含まれ、抗菌作用が強く、食中毒予防に効果的です。
刺身に添えられた大根の千切り(つま)を食べるか否かのまとめ
刺し身のつまは食べるために添えられていますので、食べても問題はありません。
ですが、大根の千切りが赤く変色している場合や、長時間放置されたものは食べる必要はありません。
しかし、新鮮な状態のつまはそれぞれ栄養や効果が有りますので、刺身と共に味わっていただくと、今までと違った発見が有るかもしれませんよ。
美味しく食べて下さいね!