空中をとぶさまざまな表現：「飛ぶ」「跳ぶ」「翔ぶ」の意味とその使い分け
空をとぶことを表現する際、用いられる漢字にはいくつかの種類があります。
「飛ぶ」「跳ぶ」「翔ぶ」といった言葉がそれに該当しますが、これらは一体どのように使い分けられるのでしょうか。
「飛ぶ」という表現は、空中を移動することを一般的に示す言葉です。
たとえば、鳥が空を飛ぶ様子や、飛行機が空中を滑空する時に使われます。
一方で、「跳ぶ」という言葉は、跳ねるような動作を意味します。
これは、カエルがとび跳ねる時のような状況に使うのが一般的です。
さらに、これら二つの言葉のどちらにも捉えられる場合も存在します。
例えば、バッタがとぶ場面において、その動きが空中で羽を使って飛ぶことを表していれば「飛ぶ」、一方で後ろ足を使って地面かとびあがる場合には「跳ぶ」と表現されます。
これらの言葉の微細な違いを理解するのは少々難しいかもしれません。
さらに、「翔ぶ」という言葉が加わることで、さらに複雑さが増します。
正確な使い方をするためには、これらの言葉の違いをしっかりと理解し、状況に応じた適切な漢字を当てる（選ぶ）ことが重要です。
この記事を最後まで読むことで、これらの言葉を適切に使い分けるためのポイントが理解できるでしょう。
「飛ぶ」の様々な意味と用法
「飛ぶ」という言葉には多くの意味が含まれています。
最も一般的なのは「空を移動する」や「飛行する」といった意味です。
例として、「鷹が天高く飛ぶ」や「飛行機が空を飛ぶ（滑空する）」のような表現があります。
さらに、「風によって空に舞い上がる」という意味での使用もあります。
この場合、「今日は花粉が激しく飛ぶ」といった表現が該当します。
加えて、「矢が空を突き抜ける」ような何かが強く放たれる様子を「矢が飛ぶ」と表したり、「水しぶきが飛び散る」などの飛散する動きを表す時にも使われます。
漢字の「飛」は、鳥が羽ばたく姿を描いたもので、「持続的に空中を飛ぶ」ことを意味します。
英語では「fly」という動詞がこれに当たります。
「飛ぶ」のユニークな用法
さて、「飛ぶ」にはユニークな用法もあります。
これらの表現は、英語の「fly」には当てはまらない日本特有のものです。
例えば、「逃げる」という意味で「高飛びする」という言い方があります。
他にも、「飛ぶ」が使われるシチュエーションとしては以下のようなものがあります。
- 「事件現場に飛ぶ」：急ぎで駆けつけること。
- 「デマが飛ぶ」：うわさが広がること。
- 「ボーナスが飛ぶ」：予期せぬ出費で所持金が消え去ること。
- 「話が飛ぶ」：話題が脈絡もなく別のものへと変わること。
これらは空中移動とは意味が異なりますが、「飛ぶ」という言葉が自然と思い浮かぶ表現ですよね。
次は、「跳ぶ」という言葉に焦点を当てて見ていきましょう。
「跳ぶ」の意味と用法
「跳ぶ」という言葉は、「地面から力強く跳び上がる」という意味を持ちます。
足で地面を強く蹴って、その反発力で体を上空、空中へと押し上げる動作を指します。
これは「跳躍」とも言われ、英語では「jump」の意味です。
漢字の「跳」は、人の胴体と静止した足を示し、「弾む」概念を表現しています。
これによって「跳び上がる」という意味が成立しています。
例えば、「跳び箱を跳ぶ」「鉄棒から跳び上がる」「溝を跳び越える」といった場面で使われます。
「飛ぶ」と「跳ぶ」はどちらも空中への移動を示しますが、それぞれに違いがあります。
「飛ぶ」は空中で一定時間留まることを指し、「跳ぶ」は跳んですぐに着地するという特徴があります。
また、「跳ぶ」は特に足や後ろ脚を使って跳ぶ動作を表しますが、「下の方向に降りる」事を表す時には普通「飛ぶ」という言葉を用います。
「飛ぶ」と「跳ぶ」の使い分け方
「飛ぶ」と「跳ぶ」の違いが明確になったと思います。
ここでは、「とびはねる」という言葉を使って使い分けについて説明します。
例えば、泥水が飛び散るような場面では、泥水が自ら跳（は）ねるわけではないため「飛びはねる」と表現します。
「風によって空に舞い上がる」時と同じような意味合いで「飛」の字を使っているのです。
対照的に、子供や子犬が喜んではしゃぐ様子を表す場合には「跳びはねる」と書きます。
「跳びはねる」の「はねる」をひらがなで書くのは、漢字の重複を避けて読みやすくするためです。
「跳び」で「jump」という意味が明確になるため、「跳び跳ねる」と重複して書く必要はありません。
同じ漢字が続くと堅苦しいですし、スムーズに読めなくなてしまいます。
蛇足ですが、「鳶は寝る（とびはねる）」の場合、これは「鳶職の人が寝る」という意味です。
日常会話ではあまり使われないと思いますが、声に出して読む場合や言葉でしゃべる場合は「とびは（wa）ねる」ですので間違えることは無いでしょう。
揚げ足取りか引っ掛けクイズでも無ければ出ないと思いますので気にしなくても良いでしょう。
「翔ぶ」という言葉の意味
「翔ぶ」とは、「広い空を自由に飛び回る」ことを意味します。
この表現は、制限されることなく広い空間を自在に動き回る様子を描写します。
通常は、現実の生き物ではなく、空想上の生物や伝説の存在が広大な空を飛ぶ姿を例に挙げることが多いです。
たとえば、挿絵の鳳凰が飛ぶさまを表す時などに、「鳳凰が大空を翔ぶ」というような使い方をします。
この言葉は比喩的あるいは詩的な文脈で使われることが一般的です。
さて、「翔」の読みとして「とぶ」と記されていることがありますが、現代の漢字辞典では主に「かける」として記載されています。
となると、「翔」を「とぶ」と読む事は間違いなのでしょうか？
平安末期の漢和辞書「類聚名義抄（るいじゅみょうぎしょう）」には「翔」の訓読みに「とぶ」が採用されており、当て字にはあたらないようになっています。
このことから、過去には「翔ぶ」という表現が使われていたことが分かります。
「飛ぶ」「跳ぶ」「翔ぶ」の違いまとめ
この記事を読んで、「飛ぶ」と「跳ぶ」の違いが理解できたと思います。
また、「飛ぶ」が失う、逃げるなどの意味で使われる点も興味深いですね。
それに対し、会社での実用的な文章で「翔ぶ」という表現はまず目にする事はありません。
「翔ぶ」という言葉は、人名に使われることが多いかもしれません。
翔太（しょうた）、翔平（しょうへい）、大翔（たいしょう） などなど。
特に、大谷翔平選手の影響で「翔平」は人気の名前として多く名付けられているのではないでしょうか？
実は、自分の息子の名前にも「翔」という字を使っており、「晴翔」と書いて「はると」と読ませています。
この名前には「晴」の「晴れやかな」や「明るい」という意味と「翔」を組み合わせることで、晴れやかで明るい未来を自由に飛び回る人物という意味になります。
大らかで明るい人生をのびのびと自由に羽ばたくように歩んでほしいものです。
