「要望」と「要求」は共に何かを他人に求めるときに使われる言葉ですが、その言い方の強弱には違いがあります。
当然、「要望」や「要求」をされた側の人の受け止められ方も異なってきます。
この2つの言葉の違いを理解せずに間違えて使ってしまうと、相手との関係悪化にもつながる可能性が有るため、この記事でしっかりと違いを理解して頂ければと思います。
仕事で言えば、顧客なのか協力会社なのか、上司なのか部下なのか、相手との関係性によって「要望」するのか「要求」するのかが変わってきます。
特にビジネス文書を作成する場合、安易にこの2つの言葉を使ってしまう事で問題に発展してしまうケースも有るためしっかりと理解をするようにして下さいね。
「要望」と「要求」の基本的な違い
「要望」は比較的穏やかな「お願い」として受け取られる言葉であり、一方で「要求」はもっと断固とした「必須条件」として捉えられる言葉です。
いずれも何かしらの行動や、状態の変化を求める際に使う言葉ですが、「お願い」と「必須条件」を比べると、その違いは大きく感じます。
では、それぞれについて詳しく見て行きましょう。
1. 「要望」について
「要望」は主に願いや希望を伝えるために使われ、その意味合いは強制的な意図はほとんど無く、相手へのプレッシャーもそこまで強くありません。
「これができればいいな」という思いを伝えるもので、強制的なものではないため、お願いした事項が受け入れられない場合に、お願い事項を強く迫ることが無い事を表しています。
例としては:
- 消費者が企業に「製品の改善を要望する」場合
- 従業員が上司に「もっと働きやすい環境を要望する」場合
など、「要望」は通常、改良や意見の提示に用いられることが多いです。
2. 「要求」について
「要求」は断固とした意志を相手に伝える言葉であり、相手に対して「是が非でもこれを行ってほしい」とはっきりと伝える場合に用います。
これは拒否することが困難、または許すつもりが無いという状況で使われることが多いです。
特に法的な事柄や権利の主張が関係する場面でよく使われます。
「要求」する側は、自分の権利や正当な理由を根拠にして、相手に明確な行動を求めるものです。
例として、労働者が「給料の増額を要求する」場合や、消費者が「保証期間中の無償修理を要求する」場合が挙げられます。
「要求」は、実現されない場合に強い抗議や反発が起こることが予想される際に使用されます。
また、要求は「是が非でもこれを行ってほしい」場合に行うため、団体交渉など数の力をたのんでの交渉を行う事も有ります。
要求する場合、それなりの覚悟をもってする事が必要でしょう。
また、要求された場合はその重みを十分肝に銘じて対応する必要が有ります。
「要望」と「要求」を英語で見てみるとどうか?
言葉の意味合いの違いを見るために、「要望」と「要求」を英語でどの様に表すかを見てみましょう。
「要望」は英語でrequestと表します。
リクエストは日本語としても一般的な言葉になっているので理解しやすいと思います。
I have a request for you; could you please help me with the project presentation next week?
来週のプロジェクトプレゼンテーションを手伝ってもらえますか?
The manager will review your request for additional funding and respond by Friday.
マネージャーは追加資金に関するあなたの要望を検討し、金曜日までに返答します。
They sent an official request to the government seeking approval for their new development plan.
彼らは新しい開発計画の承認を求めて政府に正式な要請を送りました。
「要求」は、要求と同じく request と表される事も有りますが、より強制的なdemandを使う方が実態を表していると言えるでしょう。
ここでは、demand を使った英文の例を見て行きましょう。
The union demanded better working conditions for all employees.
労働組合は全従業員の労働条件の改善を要求した。
She demanded a refund after finding a defect in the product.
彼女は製品に欠陥を発見した後、返金を要求した。
The activists demanded immediate action to address climate change.
活動家たちは気候変動に対処するための即時の行動を要求した。
「要望」と「要求」の違いについての まとめ
「要望」は比較的柔らかく相手に「希望を伝える」表現で、受け入れられなくても大きな問題にはなりません。
一方、「要求」は「必ず実行してもらうこと」を強く求める表現であり、実現を強く主張する表現となります。
ビジネスや日常のコミュニケーションでは、これらの違いを理解し、適切に使い分けることが大切です。