皆さんは、「尚」という言葉の使い方を正しく使えていますか?
例えば、
「この商品は145円です。
10個で1箱なので10個単位での販売となります。
なお、100個以上まとめて頂くと100個特価で130円になります。」
や
「下村は今なお体調不良で求職中です。」
といった文などで見かけることがありますね。
この言葉は、単に前述した内容に何かを加えるためだけのものなのでしょうか、それとも特別な丁寧さを示す表現なのでしょうか?
また、文章やメールを書く際、漢字と平仮名のどちらを使うべきか迷ったことはありませんか?
日常生活やビジネス文章作成で役立つ「尚」の表現について見て行きましょう。
この記事では、「尚」の意味と正しい(違和感のない)使い方を詳しく解説します。
「尚」の意味
「尚」の基本的な意味は以下の通りです。
- 状況が継続していることや、以前の状態が続いていること。
- 「さらに」や「更に」といった追加的な意味合い。
- 新しい情報を付け加える際に使用する表現。
「尚」の使い方
「尚」の使い方は主に以下の三つの用法に分けられます。
A: 継続している状態を表す場合
「北別府選手は抜群のコントロールで、年をとってもなお打ち込むことが難しい。」
「4月になってもなお、雪が降る日がありノーマルタイヤに交換出来ない。」
B: 追加的な意味合い(もっと、いっそう)
「今後なお一層、ビジネスパートナーとしてお取引を継続して頂きたく存じます。」
「品質が安定すれば、なおのこと設備更新も進むはずです。」
C: 新しい情報を付け加える際
「講義は定刻で終わります。尚、質問は後ほど質問用紙に記入して研究室の方に提出ください。」
「会場は2階の会議室となります。尚、席次につきましては添付の資料でご確認ください。」
文中で「尚」を使う際、漢字とひらがなの使い分けが重要です。
一般に、接続詞として使う場合は平仮名で、「さらに」の意味で副詞として使う場合は漢字で書かれることが多いです。
「尚」の使用における注意点
「尚」という言葉は、継続している状態や追加情報を伝える際に役立ちますが、過度に使用すると、かえって内容が伝わりにくくなる可能性があります。
使い過ぎない様に注意すると良いでしょう。
文例を挙げてみます。
悪い例:「説明は以上です。尚、質問は個別に受け付けます。尚、10分の休憩の後開始します。」
良い例:「講義は以上です。尚、質問については10分の休憩を挟んだ後、個別に対応いたします。」
尚がいくつも連なると、何を言いたいのが分かりにくくなってしまいます。
くどいと言いうか、見た感じが悪いと言うか、文章を書いた人のせんすが疑われてしまう可能性があります。
スマートな文章を書く上では、立て続けに尚を使わないようにした方が良いでしょう。
「尚」と「また」の適切な使い分け
「また」という接続詞は、追加や選択肢を提示する際によく使われ、一見「尚」と似ていますが、使用する文脈が異なります。
例えば、
「今回お送りしましたのは光沢が有るタイプです。尚、光沢が無い商品も取り揃えております。」
「こちらの商品は光沢が有るタイプです。また、光沢が無い商品もございます。どちらがお気に召されますでしょうか?」
これらの例文は似ていますが、「また」は選択肢や代替を示す際に使うことが多いので、「尚」と同じ意味ではありません。
どちらを使った方が良いのかを理解することが大切です。
「尚」は補足や続きを強調する際に使用します。
「また」は選択肢や追加オプションを提示する際に用います。
上の文例の「尚」と「また」を入れ替えてみて、どちらの方がしっくりくるかを見てみると良いでしょう。
その場で選んで欲しい場合は、「また」を使って選択して頂く様に仕向ける様な使い方をすると良いでしょう。
「尚」の方は、確定した事項に対して別の選択肢が有った事を伝える感じになります。
この場合、次の機会の選択肢を増やすための情報提供といったイメージが強いですね。
「尚」の類義語と適切な使用法
「尚」には、「さらに」「ただし」「しかも」といった類義語が存在します。
これらの言葉のニュアンスを正しく理解し、適切に使い分けることで、表現の幅が広がります。
裏を返せば、言葉のニュアンスを理解していなかったり、使い分けを間違えると何が言いたいのか分からない表現になりかねません。
注意したいところです。
「尚」の使用法のまとめ
一般に、「尚」は文を補足するためや追加情報を提供する際に使われます。
「尚」を使用を過度にすると尚がどこに掛かっているのか分かり辛くなり文章が複雑になるので、ほどほどに使用することが望ましいでしょう。
一つの文節に一つ位が良いと思います。
「尚」の表現を上手く、適度に活用することで、ビジネスシーンや日常生活でのコミュニケーションがスムーズかつ効果的になります。
また、会話では「尚」よりも類義語の方が自然ですので、類義語についても使い方を覚えておくと良いでしょう。