警察法改正、本当にサイバー攻撃対応のためだけ?法改正問題点は?

2022年の3月30日に警察法の改正が参議院で可決されました。
警察庁にサイバー警察局の発足とサイバー特別捜査隊が新設されます。
この法案は戦後から続いた警察の体制を変えてしまう大きな改正ですが、十分な審議もないままスピード可決されたことで、反対意見も多く問題視されています。
自分はこの法案が可決された時にスノーデン氏の告発を思い出しました。
アメリカ政府による大量の監視システムがスノーデン氏によって暴露されたのは2013年のことです。
あれから日本では共謀罪法、秘密保護法、そして今回の改正警察法が次々と法律が可決されています。
今回はこの改正警察法の目的、反対の理由、スノーデンのインタビューも交えて問題点をご紹介します。
ウカウカしていると、警察独裁国家になりかねないヤバい状況だと思っていますので、他人事と思わず読み進めて頂けるとうれしいです。
改正警察法ができた公(たてまえ)の理由は?
この改正警察法が十分な審議を経ることなく可決された公(たてまえ上)の理由はデジタル社会が進み、あらゆるところでサイバー空間の利用が増え、国境を越えてサイバー攻撃がとても深刻な問題となっていることです。
今では誰しもスマホ、パソコン、タブレットなどあらゆるデバイスを使ってインターネットにつながっています。
個人、政府、企業、金融機関、病院、教育現場、介護施設、子育てサービスなどあらゆるところでネットワークの環境を使って、便利に生活しています。
オンラインショッピングやキャッシュレス決済などもそうですよね。
切っても切れない重要なICT(情報通信技術)が生活を良くするためだけでなく、詐欺やハッキングなどの犯罪や戦争にも使われています。
ロシアのウクライナ侵攻を見ていても分かるように実際の戦いだけでなく、今の世の中はサイバー攻撃をすることで、国や会社が危機にさらされることが多いのです。
ウクライナやロシアもDDoSなど大量のデータを送ることで政府機関や金融機関などwebサイトを攻撃したりされたりして、混乱に陥りましたよね。
参考資料:
https://www3.nhk.or.jp/news/special/sci_cul/2022/03/special/2022-3-16-ddos-cyber/
https://www.shadan-kun.com/waf/dos_ddos_attack/
戦争だけでなく、日常的に世界でサイバー攻撃が行われているので、早急な対策が求められているのは事実です。
各国がそれぞれ対応していますが日本は特に今まで遅れていると言われていました。
権力中枢にいる政治家に専門的な知識を持っている人が居ないというのも状況を悪化させている理由の一つでしょう。
サイバーセキュリティ―大臣がUSBすら知らなかったというお笑いの様な人事が行われる政権与党なのですからWWW
改正警察法とはなに?
日本は戦後、警察の権限が一極集中しないように、犯罪の捜査を都道府県警がそれぞれ担当していました。
戦中、警察権力は共産主義者や社会主義者、反戦論者を公権力で弾圧してきた反省から、警察庁が直接捜査をしない様にしたのです。
今後も普通の犯罪の捜査は都道府県警が担うわけですが、サイバー攻撃に関する捜査権限は警察庁が担うことになり、警察庁にサイバー警察局とサイバー特別捜査隊が新設されることになりました。
サイバー警察局は攻撃の手段や解析、情報の集約や分析を行うところです。
サイバー特別捜査隊は国への攻撃や、攻撃を受けると重大な支障をきたす電力、医療、重要なインフラ事業者などを守るためにも証拠の差し押さえや容疑者の逮捕ができ、海外の機関との共同捜査にも参加します。
どちらも拠点は東京で人員はおよそ200人を登用します。
国境を越えて起こるサイバー犯罪は広域で捜査することが肝要とされ、警察庁が行うことになりました。
参考資料:
https://www.asahi.com/articles/ASQ3Z3RPNQ3XUTIL038.html
ですが、この建前上の理由をうのみに出来ないのが自民党支配が行き届いたこの日本です。
過去に共産党員が警察官に盗聴されたり、アベ友の逮捕状の執行を阻止した輩が警察庁長官になっているのですから、建前以外の運用をしようと考えているのは明らかだと思います。
疑って掛からないと、気が付いた時には手遅れになってしまうと非常に心配しております。
次の項に改正警察法の懸念事項をまとめてみました。
改正警察法を危惧する点とは?
大きく分けると二つあります。
・一般市民が常に監視されプライバシーが侵害される
・警察の権限が強すぎて誰も暴走を止められない
一般市民が常に監視されプライバシーが侵害される
私たちが日々利用している電話、メール、LINE、Facebook、ツイッター、ネットショッピングなどインターネットを使うものは現在、通信の自由、表現の自由がありまよね。
国がサイバー犯罪捜査を目的に監視することができ、秘密裏に行われるので本来の目的以外でも監視される可能性もあり、プライバシーが侵害されます。
憲法21条では
検閲は、これをしてはならない。
通信の秘密は、これを侵害してはならない
引用:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=321CONSTITUTION
とありますが、このことが根幹から崩れてしまうという危険性があります。
日本では戦後は表現の自由も通信の自由も基本的には守られていましたが、どこかの独裁国家では当たり前のように言論や情報の自由が奪われて、統制されたりしていますよね。
国家にとって不利益になる情報かどうかを監視され、ネットが使えなくなったり、国からの圧力がかかったりしているわけです。
そうなれば、自由な発言はできなくなり、権力を持つものに対して危険分子と見なされれば、常に監視の対象になる可能性があります。
日本がもしそうなっていけば、その監視の対象が自分になるかもしれないし、あなたになるかもしれないということです。
日本でそんなことないでしょう?と思う人もいるかもしれませんが、戦前は実際にネットもありませんが、言論や情報統制があったのです。
ですから戦後、見直されたわけですが、少しずつ戦前に戻っていくことに危惧する声が増えているんですね。
DAPPIの様な政権擁護のためのデマを政党が雇っていたと思われますが、(裁判中なので”と思われる”と表現しておきます)その逆を正々堂々と行うことが出来る大義名分を手に入れることが出来る事になるのです。
理由など後付けで何とでも言い逃れるのは火を見るより明らかです。
対立する政党を軒並み葬り去る事が出来るのですから、その魅力に負けない精神力を持った権力者などいないでしょう。
だからこそ、権力を縛る憲法や法律が必要なのです。
ですが、自民党は一貫して強権的な政治手法を強める事に血道を上げて来ました。
頭の弱いネトウヨどもは狂喜乱舞するかもしれませんが、次に監視され弾圧されるのはお前らだと言っておきます。
一部の例外の除き、皆が監視社会に叩き込まれるのです。
小説「1984年」の様な社会が出来上がるのです。
他にも有ると思いますので調べてみて下さい。
警察の権限が強すぎて誰も暴走を止められない
日本には以前特高警察という組織がありました。
当初は人員も14人ほどの小規模で労働者のストライキや出版物の検閲をしていたのですが、次第に拡大し、社会主義者や無政府主義者などを取り締まるようになりました。
1928年の治安維持法という法律改正があってからは250人体制で全国に配置されて、戦争に反対するキリスト教や戦争や、政府に反対する一般市民まで検挙し、自由な思想や言論ができなくなりました。
徹底的に弾圧するために巨大な権限を持つ組織になっていったのです。
当時は拷問なども酷く、自白を強要されたり、考えを改めるようにきびしい対応をしていた警察組織です。
ほんのちょっと前の日本のことです。
敗戦後、GHQ(連合国最高司令官総司令部)の指示によりこの組織は解体されました。
そして国家警察が根本的に変わり、現在のような警察組織になっていきました。
特高警察の存在は時代的な背景もありますが、反省に基づいて変わった警察の組織がまた中央集権化することは警察の力を増大させ大義名分のもとに暴走してしまうのではないかと危惧されています。
ですから一般市民がただただ監視され、知らず知らずに自由を奪われていく危険性は日本でもちょっと前の歴史が物語っているということです。
参考資料:https://nihonsi-jiten.com/tokubetsu-koutou-keisatsu/
そして、現在の自民党の政治家には特高警察の子孫も含まれており、特高警察の思想に親和性を持っていると思われる言動も多く発せられています。
「国民の生活が大事なんて政治は間違っていると思う」
「平和主義、国民主権、基本的人権これらを憲法から無くさなければならない」
そして、「緊急事態条項」です。
この様な考えが自民党の考え方なのです。
この様なヤバい輩たちに権力を与えるなんてまっぴら御免です。
緊急事態条項など 全権委任法 の焼き直しです。
永久権力維持の為の屁理屈で固めた悪法ですので、絶対に認めてはいけません。
エドワード・スノーデン氏「デジタル監視と人権」について
「デジタル監視と人権」というテーマで2017年にエドワード・スノーデン氏はインタビューを受けています。
その中での話を一部ご紹介します。
スノーデン氏は2017.4月に13の暴露文書を公開しています。
その中に米国家安全保障局(NSA)の最高機密である情報取集管理システム「XKEYSCORE(エックスキースコア)」を日本へ供与したという文書があります。
XKEYSCOREとはいつでもどこでも全ての通信を集めることができ、監視を可能にするものです。
インターネット、コードレス電話、無線、衛生電話など軍事基地や通信会社のPCやサーバーを利用して情報を誰の許可もなく、手に入れることができます。
以前は技術も時間もお金もかかるなど、制約が多くて犯罪者しか焦点を当てられなかったものが今ではいつでもどこでも秘密裏に監視ができるのです。
もちろん政府としてはあらゆるテロとの戦いから国民の平和を守るとか、国家安全保障や防衛など理由はいろいろ言うでしょうが、民主的な手続きや合意なしに人々のプライバシーを侵害できることは犯罪的です。
しかも密かにできるので訴えることすらできないとスノーデン氏は話しています。
冒頭に書いたようには日本ではここ10年以内に共謀罪法、秘密保護法、改正警察法が次々とスピーディーに可決されてしまいました。
しかも、強行採決に次ぐ強行採決で!
この法律の必要性など十分な審議がされずに法案が通った理由は米国から大量監視の共謀に参加し、より大きな役割を担うための条件だったと言います。
つまり米国からの要望に応えることで得たものというのです。
これだけでも一般市民にしてみれば、衝撃的で恐怖なことですが、スノーデン氏はさらに話します。
諜報機関を持っている国ではこうした取引は当たり前にされています。
驚くべきことではないけれど、日本での最大の問題は「国民には知らされていない」ということです。
国民に関係ない話ではなく、国民が関与して議論することが必要なのに、それすらもできていないことが問題と言います。
参考のYou tube
https://www.youtube.com/watch?v=AiAzPDm6vEM
まとめ
サイバー攻撃の対応が急務であることにより十分な審議がされずに発足した改正警察法。
その必要性やサイバー攻撃に限ってという警察庁の権限がどこまで広がるのかも不安です。
と言うか、自分には無制限に強権を振るう気満々な様に見えます。
警察庁の暴走をしっかりチェックできる機能や仕組みもあるのかないのかも明確ではなく、納得できないまま政府の思惑通りに進んでいるようです。
スノーデン氏の発言の真偽は分かりませんが、米国政府と日本政府でそのような密約があっても不思議ではありません。
非核三原則ですら密約が有ったのですから、無いと思う方がムリと言うものです。
XKEYSCORE(エックスキースコア)の供与があるならば、監視される社会となり間違いなくブライバシーは侵害されることになるでしょう。
会社の同僚や友人、となりの家の人、これらは全てあなたを監視する密告人になりますよ。
家族ですら安心することは出来ません。
そんな社会にしたく無ければ、一人一人が声を上げて行かなければならないと思います。