ミュージカル「聲の形」の予備知識と魅力、登場人物とキャストをご紹介!

島太星さんが主演されるミュージカル「聲の形」が、10/4から10/8まで東京のサンシャイン劇場で公演されます。
この「聲の形」は大今良時さんの原作で2013〜2014に週刊少年マガジンで連載されていて、2016年に京都アニメーションが劇場アニメ映画を制作しました。
連載された時も話題になり、映画でも177万人を突破し、興行収入は23億円を超えるほどの人気でした。
漫画や映画でもご覧になった人も多いかと思います。
自分の知り合いも何回見ても涙が止まらなかったという人がいました。
耳が聞こえないという障害を抱えいじめられる主人公と、いじめの首謀者として1人責められたクラスメイト、
2人を取り巻くクラスメイト、家族、教師、それぞれが心に思うこと、
自分の気持ちを伝えることの難しさ、友達とは、死とは、色々なテーマを含んだストーリーです。
中学校の道徳教材としても30分のショートドラマにまとめられて、使われています。
今回はそんな「聲の形」のあらすじ、キャストのキャラクターを深掘りし、ミュージカルで演じる主なキャストのメッセージも紹介します。
映画と漫画では少し内容を変えている部分もありますが、今回は映画の内容を紹介します。
聲の形のあらすじ
ある小学校に聴覚障害を持つ西宮硝子が転校してきます。
硝子は補聴器をつけていますが、筆談で皆とコミュニケーションをとって、仲良くなろうとします。
クラスメートは聴覚障害ということに驚きながらもそれぞれが興味を持ち、接していきます。
しかし、硝子とスムースにコミュニケーションが取れないことや、硝子のために授業が中断することが増えて教師もうまくフォローができないことで、イライラが募り、いじめが起きていきます。
ガキ大将の石田将也も最初は退屈凌ぎに硝子に興味を持ちますが、何をしても硝子の感情がわからず、嫌がらせが次第にエスカレートしていきます。
周りのクラスメートも見て見ぬふりをして結局いじめに加担してしまいます。
5ヶ月間に硝子の補聴器はいくつも捨てられて、親が学校にクレームを入れたことで問題が表面化します。
170万円の弁償ということで事態は大きくなり、担任が誘導する形で、将也1人が悪者として吊し上げられてしまいます。
クラスメートは自己保身のために将也を庇うどころか、その後も虐めの対象としてしまい、将也は完全に孤立します。(この担任がかなり曲者です!)
将也が虐められているのを知った硝子は陰ながら守ってくれていたのに、それに気づかず、イライラを硝子にも当たってしまう将也。
そんな硝子も自分がいることで誰かが傷つくと心を痛め、結局転校してしまいます。
時は流れても孤立もずっと続き、硝子にも何も言えないまま、罪悪感を抱え高校3年生になる将也。
立場が逆転してからの将也は自分の心の中に蓋をしてしまい、周りのクラスメートの存在を一切消していきます。
映画では将也の心の中の描き方として、クラスメートや先生の顔に一人一人✖️印がついています。
将也は自分が生きていても仕方がないと思うようになって身辺を整理していきます。
自分の命も終わりにしようと思い、その前に硝子の補聴器代を支払ってくれた母にバイトで稼いで返済し、昔、水の中に捨ててしまった硝子の大切なノートを持って、今までの自分の気持ちを伝えようと硝子に会いにいきます。
そのために手話も勉強していました。
手話を勉強したことで、小学生の時、硝子が言っていた言葉を初めて知ることにもなります。
母は将也から返金された時、将也が良からぬことを考えているのではないかと気づき、必死に説得します。
硝子を守ろうとする妹の結弦からは酷い言葉を投げつけられる将也ですが、それでも硝子と手話を交えて会話を試みます。
かなり敵対視していた結弦も硝子が将也と会うことで明るくなっていくので、見方が変わっていきます。
少しずつ硝子との関係を改善していくうちに硝子の母、小学校時代のクラスメートと再会することになりますが、それぞれが思うように感情を伝えられず、長年燻っていた気持ちがまたぶつかり合います。
皆が過去に囚われていて、そこでも言葉を通して傷つけ合います。
硝子もまた自分がいることで皆を傷つけてしまうと思い悩み、その一方で将也への淡い恋心を抱きますが、その気持ちも思うように伝わりません。
思い詰めた硝子は黙って将也にさよならしようとしますが、そんな硝子の異変に気づいた将也は硝子を助けようとして、思わぬ事態になっていきます…。
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このアニメ映画を見ると、恐らく誰しも経験したことのある過去を思い出すのではないでしょうか。
自分とは違うタイプの人間への興味が湧き、ふとしたきっかけで善意よりも悪意が勝ち、相手にきつく当たってしまう、
相手の反応がよくわからないとさらにからかってしまう、
自分より弱者だと認識するといじめてしまう、
守っているふりをしていじめを見て見ぬふりをしてしまう、
全く興味持たず傍観者になってしまう、
偽善者ぶってしまうなど…
挙げればキリがないほど、こどもの頃から人の意識の底にあるものを思い出させます。
この感覚はこどもだけじゃなく、いじめをなくそうと言っている大人や指導者にもあります。
特にこの映画に出てくる教師の対応には疑問に思う人が多いことでしょう。
ニュースでもよく伝えられますが、会社でのパワハラ、モラハラ、セクハラ、子どもへの虐待、介護施設や病院、学校や部活動での嫌がらせなど世の中にはこんなに多くのことが起き、それを見て見ぬ振りしている人も多く、決して他人事ではないと感じさせられます。
大なり小なり過去の自分や現在の自分を思い起こすような内容で、子どもの道徳教材だけでなく、大人にまず見てほしい内容だと思います。
出てくるキャストがそれぞれ魅力的なキャラクターで、映画でもかなり強烈なインパクトを与えるのですが、その中で個人的に特に印象的に思ったキャストをご紹介します。
多少個人的な意見が入っていますが、悪しからず!
聲の形の個性的な登場人物の解説
石田将也の存在
将也は最後のシーンで友達と文化祭を一緒に回ってほしいとお願いするシーンがあります。
この何気ない言葉に長くて暗いトンネルをやっと抜け出した将也を見た気がしました。
小学6年生の時に硝子をいじめ、そのせいで自分がいじめられる側になってから、この日までずっと封印していた世界です。
自分の硝子への酷い行いは、そっくりそのまま自分に返ってくると思い知らされ、楽しいことなど望むこともなく、命を絶とうともします。
その後、一歩ずつ前進しますが、自分の感情を硝子や元クラスメートにどう伝えたら良いのかも何度も悩み、なかなか変わることができない将也。
将也のいじめの内容やこの長くて暗いトンネルもなかなか辛い連続ですが、不器用な自分の気持ちを変え、行動を起こすことで少しずつ成長していきます。
映画には描いてはいませんが、小学生の時、いじめで将也だけが先生やクラスメートに吊し上げられたことは、自業自得とは言え、納得できないこともあったでしょう。
ねじ曲がった性格ならば、相当トラウマになって、うらみつらみを抱えていく描き方もあったと思います。
でも将也の描き方はそうではないところが、いいと感じました。
苦労をかけた母との会話からも、姪っ子のマリアとの接し方を見ても、元々は心の優しい少年だということが感じられます。
硝子が転校した後に、将也は彼女の優しさを気づくことになってしまいますが、硝子の影ながらの見守りを知ることも自分が変わるきっかけとなったと思います。
西宮硝子の存在
聴覚障害者である硝子は書くことでコミュニケーションを図ろうとしますが、中々うまくいきません。
クラスメートからの悪質ないたずらにも少し困った顔をしたり、反対に謝ったり、お礼を言ったりするので、周囲は理解できず、イライラしてしまいます。
嫌なら嫌!とその場で言えばいいと思う人は多いかも知れませんが、複雑な表情を浮かべる硝子のシーンはとても多く、見ている側も考えさせられます。
硝子の笑顔の裏ということで掲載されていた記事があったので、こちらを引用しますね。
私たちはこんな想いに寄り添ったことはあるでしょうか…?
聴覚障害者の人は大勢との食事中、楽しい話ほど会話のテンポが速くて読み取れません。
人によっては顔を見ずに話すので、誰が誰に話しているのかもわかりません。
かといって会話を止めてまで周りの人に聞いて理解しようとすると場が白けてしまいます。
場の雰囲気もあるので、毎回筆談というわけにもいきません。
たとえみんなが笑った理由がわかっても「みんなと同じ瞬間に同じ熱量では決して笑えない」のです。
そしてそれを相手に悟られまいとします。
自分が完全には参加しきれていない事実に対して周りに負い目を感じて欲しくないと考える人もいます。
分からない事実自体を諦めて、盛り上がっているのを眺めているだけでいいんだと達観している人もいます。
個々の性格によって複雑に変わっていきます。
それによって愛想笑いや微笑みを浮かべ、雰囲気を壊さないようにしています。
これを指して「微笑みの障害」と呼ぶことがあるようです。
引用元:https://4hearts.net/deaf_category/1380/
最後のシーンで植野直花が冗談っぽく「ばか」と手話で硝子に話します。
少し驚く硝子ですが、今までの硝子とはリアクショが違いました。
直花が手話を間違えていたので、直しながら「ばーか」と言い笑顔が溢れます。
とても些細なことですが、硝子の別の一面も直花に伝わり、少し気持ちも通じたような描き方でした。
以前、障害があるからという理由で拒絶して距離をとってしまっていたクラスメート達の思いが変わった瞬間だったようにも見えました。
この映画はセリフもですが、硝子の表情や佇まいそして風景を見ているだけでも、手話の力だけではない色々な思いを表現していると感じます。
言葉だけじゃないということなんですね。
西宮結絃の存在
西宮結絃は硝子の妹で中学生ですが、聴覚障害の姉を守るために、いつも硝子のことを想っています。
男の子のような外見や言葉づかいでかなり将也にも強気に当たります。
自分自身も不登校ですが、自分を振り返ることより硝子に寄り添うタイプです。
カメラが趣味で死んでいる動物を被写体にしていることが多いです。
これについては姉へのメッセージがあるようですが、ちょっと屈折した妹です。
硝子を通して将也のことを知りますが、中学生なのに、今頃になって将也が硝子に近づく理由を自己満足だといい、障害に対する意識についても厳しく将也の心をえぐります。
でも姉の硝子は将也によって少しずつ絡んだ糸がほどけていき、それを見ている結絃も少しずつ将也への理解を深めていき、後半になると心の内を見せていくようにもなります。
淡々として冷たい対応から、次第に硝子と将也の架け橋にもなり、とても重要な存在です。
永束友宏君の存在
ぽっちゃりして、人懐っこいキャラです。
後ろの席の永束くんの名前すらも覚えていない将也ですが、あることで将也が永束を助け、そこから将也のことを「やしょー」と呼び、1番の友になっていきます。
友達思いの高校生です。
何か質問すればなんでも親身になってちょっと上から目線で答えてくれるキャラはとても愛らしく、この映画の中でもムードメーカーです。
本当にこんな仲間がいたら、時々うざい面があるけれど、楽しいだろうなと思わせる存在ですよね。
永束君が将也に毎日話しかけ、遊びに誘ううちに無表情だった将也に笑みが戻ってきます。
将也の心の中の✖️印が初めて取れた大切な存在です。
植野直佳の存在
小学生の頃からちょっときついリーダー的な存在です。
硝子がはっきり感情を伝えないので、イライラすることも多く、冷たく当たってしまいます。
将也とその後、疎遠になったことも、女子との疎遠も全ては硝子がクラスにやってきたからだと理由付けしてしまい、高校で再会してもその思いを将也や硝子にぶちまけてしまいます。
自分でも気持ちのコントロールがうまくいかないように感じる直佳ですが、こういうタイプの人は意外と多い気がします。
はっきり言ってしまう性格のため、目立ってしまいますが、誰しもが自分の中にもこんな一面があるな…と思わせる存在です。
ミュージカル「聲の形」に出演する主なキャスト
最後に今回のミュージカルで演じている主なキャストのプロフィールのご紹介とメッセージを載せますね。
島太星(しまたいせい)・・石田将也役
出身地: 北海道深川市
生年月日:1998年1月29日
身長:177cm
趣味・特技: オンラインゲーム、動画編集、タイピング
所属: CREATIVE OFFICE CUE / ソニーミュージック
主な出演:がんばれ!TEAM NACS(ドラマ)、島太星のぽっぷんアイランド(ラジオ)、私の卒業-第3期-あしたのわたしへ(映画)他
NORDリードボーカル、Love Harmony’s Inc.のメンバー
山崎玲奈 (やまさき れな)・・西宮硝子役
出身地:愛媛県
生年月日:2007年1月28日
身長:155cm
趣味・特技:歌、ピアノ、モノマネ、ドラム
所属:ホリプロ
主な出演:ミュージカル「ピーター・パン」、劇場版おいしい給食 卒業(映画)、月食の夜は(ドラマ)他
宮下雄也 (みやした ゆうや)・・永束友宏役
出身地:大阪府
生年月日:1985年9月3日
身長:174cm
趣味・特技:歌、ピアノ、モノマネ、ドラム
所属:吉本興業
主な主演:遊☆戯☆王5D’s、ブラッシュアップライフ、劇団かもめんたる公演 他
大西桃香(おおにし ももか)・・植野直佳役
出身地:奈良県
生年月日:1997年9月20日
身長:156cm
趣味・特技:音楽を聴くこと
所属: アリゲーター
主な主演:事故物件(映画)、AKB48大西桃香のSHIBUYA DE PARADISE!!(ラジオ)、トワツガイ(舞台)他
AKB48チームkでも活動
大川永(おおかわ はるか)・・西宮結絃役 (ダブルキャスト)
出身地:東京都
生年月日: 1993年12月8日
身長:155cm
趣味・特技: 散歩、読書
所属: 株)オールスタッフ
主な主演: ミュージカル「魍魎の匣」、ミュージカル「おれたちは天使じゃない」他
德岡明(とくおか あかり)・・西宮結絃役 (ダブルキャスト)
出身地:埼玉県
生年月日:1995年11月9日
身長:153cm
趣味・特技: ピアノ、早口言葉
所属: 株)オールスタッフ
主な主演:ミュージカル「遠ざかるネバーランド」、ミュージカル「魍魎の匣」、ミュージカル「おれたちは天使じゃない」他
皆さんのミュージカル「聲の形」の意気込みが語られています。
島太星さんと山崎玲奈のコメント
https://natalie.mu/comic/news/531937
宮下雄也さん・大西桃香さん・大川永さん・德岡明さんのコメント
https://natalie.mu/comic/news/533265
「聲の形」の予備知識と魅力、登場人物とキャストのまとめ
いかがでしたでしょうか。
色々な問題を含んだ重いテーマですが、だからこそ観る側の心に刺さるストーリーです。
言葉で伝え合うことの難しさは子供だけでなく大人になった今でも日々感じることです。
感じ方はそれぞれだと思いますが、いじめのニュースなどを見ると、被害者、加害者と分けたがる癖が往々にしてあります。
もちろんいじめることはどんな場合でも許せませんが、このストーリーはどちらの立場にも成り得ると訴えている気がします。
それを解決する方法はやはり自分の知らない相手の世界を知り、わからないことは確かめ合い、相手に寄り添うことが大切なんだと思います。
そのためのツールは一つだけでなく、手話、言葉、筆談、表情、態度など色々あるんですね。
10月4日から始まるミュージカル「聲の形」ではたくさんのテーマをキャストの皆さんがどんな風に歌に乗せて演じるのか楽しみです。
聲の形を見たことない人には多少ネタバレにもなりましたが、これで興味を持っていただけたら嬉しい限り!
映画やコミックで人気ですが、ミュージカルも期待したいですね!