卒業を前にした中学生にとって、心に残る卒業文集を作る時期が近づいてきました。
高校受験を終えたばかりでホッと一息付いているかもしれませんし、早くも高校から多くの宿題を与えられて途方に暮れていると言う人もいるでしょう。
生徒たちは自分の感情や夢を文章に込めて卒業の証として残すことになりますが、何をどのように書くべきかで悩むことも少なくありません。
特に、文章作成が苦手な人には大きな課題かもしれません。
そこで、中学生のための卒業文集の作成方法、役立つ例文を便利なテンプレートにまとめてみました。
忙しい時期だからこそ、これらを利用して効率的で感動的な文集を作りましょう。
「中学卒業文集の作成ガイド」
中学の卒業アルバムともなれば、3年間の生活を振り返るとともに将来の進路について語る内容が増えてくると思います。
進路については、それなりに将来を見据えた生徒もいれば、夢を見続けている生徒もいるでしょう。
これらを考えていくと、ある程度の「文の型」が見えてきます。
その型をガイドとしてまとめていきます。
「卒業文集におすすめのテーマ」
中学卒業文集では、さまざまなテーマが選べます。
学校生活の振り返りから、未来の目標や夢、尊敬する人、友情に至るまで、心に響いたことを書き表すことが重要です。
以下は、一般的なテーマの例です。
- 中学校生活での想い出全般
- 中学生活で学んだ教訓や体験について
- 中学生生活を通して挑戦した事と成長出来た事
- 未来への夢や高校生活に対する抱負
- 大切な人や物
- 尊敬したり目標とする人物について
- 友達との特別な想い出
これらのテーマは多くの生徒に選ばれています。
それだけ書きやすいと言えるでしょう。
卒業文集は、テーマが指定されることもあれば自由に選んでいい場合もあります。
ここでは、自由に選べる場合を想定して簡単に作成できるであろうテーマを紹介します。
「ラクに書こう!中学時代の思い出をテーマにした卒業文集」
卒業文集をすぐに書き上げてしまいたいと思っている生徒には、「中学生生活での想い出」をテーマに選ぶことをおすすめします。
このテーマは書きやすく、多くの生徒にとって親しみやすい内容となっています。
自分の体験や経験を元にしますので、文章作成に行き詰る事も少ないのではないかと思います。
文章構成の仕方としては、まず中学3年間で印象深かった出来事をいくつか挙げます。
学校行事、部活動、修学旅行、普段の授業など、さまざまなエピソードが選択肢になり得ます。
苦しかった高校受験でも構わないでしょう。
- 運動会や文化祭
- 部活動やクラブ活動、委員会活動など
- 修学旅行や遠足
- 各種競技大会やコンクール
- 学校の日常や特別なイベント
これらの中から特に心に残っているエピソードを選びます。
良い結果だけでなく、挑戦や失敗から得た教訓も価値のある記憶です。
例えば、
「市の大会で思うような結果は得られなかったがチームメイトと協力する事の重要性を学んだ」や、
「文化祭の演劇で入賞を逃したが、一生懸命セリフや振付を練習した経験は忘れられない」
といった内容が良いでしょう。
このようなテーマを選ぶことでクラスメイトがあなたの文章を読んだ時にあなたの事を思い出してくれるでしょう。
その様な卒業文集は、何年経っても読み返す度にその当時を思い浮かべることが出来て、心に残る作品になります。
「テンプレートを使った卒業文集の書き方」
中学時代のさまざまな思い出を箇条書きに書き出したら、次にそれらをテンプレートに沿って文章にします。
箇条書きに書き出す項目は多いほど文集が書きやすくなりますが、少なくても問題はありません。
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タイトル「私の中学生活の思い出」
私の中学校生活の3年間で特に印象に残った思い出は次の3つです。
1つ目は……これこれこういう事です。
2つ目は……この様な出来事が有った事です。
3つ目は……仲間とこんなことを達成した事です。
これらの経験が出来た事は、努力する大切さや成功するしないにかかわらず、大切な想い出です。
もちろん成功出来たら一番良かったですが、自分があれほど一生懸命打ち込んだ事は初めてでした。
この経験を胸に、これからの高校生活でもさらなる努力を続けていきたいと思います。
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この方法で、テンプレートに沿って書けば、原稿用紙1~2枚程度の文章であればスムーズに作成できるはずです。
文章構成に迷った時は、具体的な例文を参考にすると良いでしょう。
具体的な例文を参考にする事で、より書きやすくなるはずです。
「中学校の卒業文集にぴったりな、魅力的な書き出し例」
卒業文集を書くときに最も悩むのが書き出し部分です。
しかし、書き出しがスムーズに決まれば、その後の文章も自然に書き進めることができます。
逆に、書き出しが明後日の方向になってしまっていると、後の文章もなかなか出て来なくなってしまいます。
ここでは、卒業文集の書き出しに役立ついくつかの例文を紹介します。
これらの例を参考に、「これなら書ける!」と感じるような書き出しを見つけてみましょう。
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「わたしが○○中学校で過ごした3年間は瞬く間に過ぎ去ってしまいました。その中でも特に心に残るのは〇〇です。」
「中学生活で私が一番力を注いだのは〇〇です。その理由は……。」
「高校生になったら、〇〇という目標を達成するようにしたいです。」
「中学校で学んだ多くのことの中で、強烈に記憶に残っているのは〇〇です。」
「わたしが授業で習った人物の中で尊敬する人物は〇〇です。その人から学んだことは3つあります。」
「私が中学校生活の3年間で見つけたかけがえのない宝物は〇〇です。」
「卒業するにあたり、特に〇〇に感謝したいと思います。」
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これらの書き出しは、次に書く内容へと自然に繋がるように作られています。
いくつか試してみて、自分にとって書きやすいものを選んでみてください。
時には、最初に思いついたものよりも、他のアイデアの方がスムーズに書けることもあります。
「中学生におすすめの卒業文集 例文3選」
ここでは、卒業文集のための例文をいくつか紹介します。
中学校によっては、クラス全員または学年全員の文を掲載するため、文字数はそれほど多くないのが一般的です。
通常、300文字から1600文字程度が目安になります。
原稿用紙で1枚~4枚程度です。
文章よりイラストの方が得意であれば、挿絵イラストを入れるのも一つの手段です。
「卒業文集例文1:中学生活の思い出」
タイトル「中学の思い出」
「わたしがこの中学校で過ごした3年間は瞬く間に過ぎ去ってしまいました。その中でも特に心に残るのは次の3つの出来事です。」
1つ目は、体育祭の応援看板係として同じ係のメンバーと大きな看板絵を描き上げ、3年連続で最優秀賞を取ったことです。
運動が苦手な自分でも体育祭に貢献出来て、それが評価された事は忘れられません。
2つ目は、修学旅行で長崎に行き戦争の悲惨さを学んだ事です。
目をそむけたくなるような展示写真を見て、戦争の悲しさと平和の尊さを深く感じ取りました。
3つ目は、休まずに塾に通う事でクラスの中で上位の成績を維持できた事です。
嫌いであった国語も3年間努力した自分を褒めてあげたいと思います。
中学校生活の3年間は、苦しい事も楽しい事も有りましたが、確実にわたしを成長させてくれたと感じています。
それらの経験はかけがえのないものだと胸を張っていう事が出来ます。
○○中学校での想い出を胸に、高校生活にも全力を注ぎたいと思います。
高校では、新たな挑戦が待っています。
高校生活の先には大学受験が待っています。
ですが、中学校生活での努力の事を考えたら大学受験も乗り越えることが出来ると考えています。
くじけそうな時は中学校3年間の経験を振り返る事でわたしを前へ前へと導いてくれるでしょう。
わたしを3年間育ててくれた方々への感謝の気持ちを忘れずに、新しいステップに進んでいきたいと思います。
「卒業文集例文2:将来への夢」
【タイトル】「学校の先生になるという夢」
私は将来、学校の先生になることを夢見ています。
この夢を持つようになったのは、学校嫌いになり休みがちだった私が再び学校に通えるようになったことがきっかけでした。
中学1年生の2学期に私は落ちこぼれてしまいました。
小学校の時にはクラスで平均的な成績だったのですが、中学校に入って算数が数学になり、英語も始まり、徐々について行けなくなりました。
そうなると、予習・復習をする気力も無くなり、成績は坂を転がり落ちる様に下がって行きました。
そんな時、私のために数学のプリント問題を作って届けてくれた先生が居ました。
学校の授業よりもずっと初歩から解説を交えたプリントです。
無理せず登校出来ると思える日は登校しようと声も掛けてくれました。
勉強で落ちこぼれてしまう事には理由が有るのですが、それが分からないから落ちこぼれてしまうのです。
努力してもピントがずれているので成績に結びつかず、そうなるとますますやる気が無くなる悪循環です。
そんな状態から数学だけでも何とかついて行けるようになりました。
1教科だけでもついて行けるようになると、学校に行きたくないと言う気持ちが少し軽くなった気がしました。
幸い、いじめで不登校になったわけでは無かったので、私は学校に復帰しやすかったのです。
さて、学校に行って授業を受けていると、それだけである程度点数が取れる教科も有るんですよね。
落ちこぼれを見捨てたり、見捨てるつもりが無くても手が回らない先生が多い中、見捨てないでいてくれた先生には感謝しかありません。
そして、私もそんな先生になって苦しんでいる生徒を救えたら良いと思うようになりました。
私に希望と目標を下さって感謝です。
ほんとうに有難うございます。
「卒業文集例文3:尊敬する人物」
【タイトル】「杉原千畝に学ぶ」
私が心から尊敬している人物は、東洋のシンドラーと呼ばれた外交官の杉原千畝さんです。
杉原千畝は第二次世界大戦中にリトアニアのカウナスという都市に日本領事館領事代理として赴任していました。
当時のヨーロッパでは、ナチス・ドイツにより多くのユダヤ人が迫害されていました。
当時の日本はユダヤ人に限らず、日本を経由して他の国に避難する外国人が「避難先の国の入国許可を得ていない場合通過ビザを発給しない」という方針でした。
また、避難先の国への旅費を持っていない場合も同様にビザの発給はされない決まりでした。
ですが、杉原千畝は自分の判断でビザの発給をしたのです。
決まりに背いても己が大切だと思う信念に従ったのです。
それにより6,000名以上と言われるユダヤ人の命が救われた事は賞賛されるべき事だと思います。
中学生活を振り返ると、私自身ただ単に決まりを守る学生生活でした。
しかし、卒業を機に、私は変わることを決意しました。
決まりに背くことを決意したのではなく、従う事が理不尽だと思う場合に自分の信念に基づいて行動するという強さを持とうと思ったのです。
高校での学びや努力を通じて、どんな困難も乗り越えていける強さを身につけることを目指します。
失敗を恐れずに前向きに努力を続けることで、自分自身の限界を超えて成長できると信じています。
卒業は新たなスタートラインです。
私はこれからの人生で、中学時代に学んだ事や経験した事を活かし、より成熟した自分へと成長していくことを目指します。
上記の例文ように、中学校の卒業文集は、生徒一人一人の成長と経験を反映した貴重な記録です。
思い出や学び、感謝の気持ちを表現することで、卒業文集はより深みのある意味を持つものになります。
それぞれの生徒の個性が光る卒業文集は、卒業後も長く大切にされる記念品になるでしょう。
「卒業文集作成のポイント:シンプルで心に響く」
卒業文集を作る際に効果的でシンプルな方法は、「中学校の思い出」に焦点を置くことです。
中学生活を振り返り、特に印象に残る行事や経験について書くと、文章は自然とペン先から流れ出します。
その中で得た教訓や感じたことを加えることで、より内容が充実します。
将来の夢や部活・クラブ活動の経験について書くのも良い方法です。
これは、具体的な目標や情熱を持つ人に特に適しています。
例えば、「〇〇になりたいと思う理由」や「部活動での学び」など、個人的な目標や学びを中心にした文章が良いでしょう。
さらに、尊敬する人物について書くのも一つの方法です。
歴史上の人物や影響を受けた人物にスポットを当て、その業績や名言を引用して、どのように影響を受けたかを述べることで、ユニークで個性的な作文が完成します。
歴史上の人物を取り上げる場合には、歴史的な評価が大きく変わってしまう可能性が有る人物は避けた方が良いでしょう。
地動説を唱えていたガリレオが生前異端者の様に扱われ、その後「それでも地球は回っている」という事が正しいとなる様に、あまりに近しい年代の人物だとその評価が大きく変わってしまう可能性が有るためです。
「中学校卒業文集のための例文とテンプレートのまとめ」
卒業文集を作ることは、最初は難しそうに感じるかもしれませんが、いくつかのコツを押さえることで、案外スムーズに進められます。
「中学校の思い出」をテーマの中心にすることで、感動的な文集が作れます。
思い出の詳細を書き留め、それに関連する感情や学びを加えることで、読者に感動を与える作文が出来上がります。
たとえ文章作成が難しい場合でも、卒業文集は個々の思い出や感情を共有し保存するものです。
完璧さを求める必要はなく、心に残るエピソードをシンプルに書き綴ることが卒業文集の魅力を引き出します。
焦らずに、自分らしい文章を書く楽しさを味わってください。